さようなら、だ。




 「もうさよならなのかな」

 「そうだろうな。」

 それを聞いてはほろりと涙をこぼした。
 ナカジはなにも言わないで大人しくを見つめていた。
 彼の、深い淵のような目には或る感傷と鬱が融けていた。

 「もう会えないんだよね。」

 「だろうな」

 「もう2人で一緒に歩いたりお菓子食べたりできないんだよね」

 「できないだろうな」

 「あたしまだナカジのこと好きだよ」

 「俺もお前のことを愛してる」

 何でだろうなぁ、は自問した。
 こんなにナカジのこと好きなのに。
 ナカジは解答を知っていた。
 2人の感情がすれ違っていて、中途半端な距離だからだ。
 お互いがお互いを愛している。
 でも、平行でない2本の直線は一度しか交わらない。
 気持ちがひとつになればまた離れていくのだ。少しづつ。

 「またいつか、今までみたいに一緒にいたりできるかな」

 「どうだろう」

 「ナカジ・・今まで、楽しかったよ」

 「俺もそう思う」

 でももう引き返せない。
 振り返ってもただの闇

 「ばいばいナカジ」

 「またどこかで会えたらいいな。」

 これで最後。
 ナカジの願いと相反して、きっと2人が再び出会うことはないのだろう。

 「大好きだよ。」

 「あぁ。」

 ナカジはの手を取った。

 さぁ。

 最後のスローなダンスを。

 2人で踏む悲しみのステップを。

 踊ろう。



  真冬のダンス 悲しみのステップ

  希望もないそんな僕らの

  繋がらない だけどいつかは繋がりたい

  そんな心で












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 ♪真冬のダンス/ASIAN KUNG-FU GENERATION

                            (060403)





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