ばたばたしていた年の暮れが終わろうとしている。
昼までずっと忙しかったのに、夜になると糸が切れたみたいに退屈になる。
だから2人でこたつに入ってだらだらと過ごしてみた。
ナカジはぼーっと紅白歌合戦を見ている。
あまり面白くなかったらしくすぐににテレビを譲った。
「つまらん」
は焼いた丸餅に砂糖醤油を垂らしてかぶりついた。
ふわりと甘いいい香りがする。
「ナカジも食べる?」
「きな粉ないの」
「きな粉って・・おばあちゃんみたい」
「うるさい」
はこたつを出てきな粉を探してみた。
きな粉は和菓子くらいにしか使わないからあんまりない。
「ポン酢ならある」
「豆腐の真ん中で頭打って一回死んで還って来い」
「無理な注文だなぁ」
笑って、網の上の餅を何もつけないでナカジに渡した。
ナカジは勝手にの砂糖醤油をかっぱらって食べた。
「甘」
「仕方ないよ」
素のまま餅を食べた。
澱粉がブドウ糖になる独特の甘味がする。
「これ搗いたやつ?」
「うん実家から送ってきたやつ」
「うまい」
「でしょ」
テレビにはいつもの悪戯っぽい笑顔のMZDが映っている。
紅白の司会はいつもと同じミミニャミだった。
次はDeuilの3人らしい。薔薇を携えたユーリが画面の端に映った。
はまたこたつに入ってテレビに向かう。
「そいつら好きか?」
「うんまぁ・・仲良しだし」
「俺は嫌いだ」
ぷいと窓の外を見る。
雪も降らない、しんとした黒い空。
ただ寒いだけ。
「」
「んー?」
テレビに夢中のまま応えるからテレビを消した。
「何すんのよ」
「うざい」
「何が」
「会話はきちんと」
「何それナカジが淋しいだけでしょ」
「別に」
「じゃぁつけてよ」
「断る」
「最悪」
「年の終わり位テレビなんか見なくていい」
「年の終わりだから見るんじゃん」
「年の終わりだから見ない」
ナカジとの言い合いに飽きてはごろりと床に転がった。
だんだん眠気がやってくる。
「寝るのか」
「かも」
「じゃぁ・・先に言っとく」
「何?」
「来年もよろしく」
ナカジが膝を附いて言った。
堅苦しいのが可笑しくて笑った。
「うん、こちらこそよろしく。」
きっと来年もいい年になる。
(来年も君を愛すると誓う/061229)
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