ふわふわと、白い煙が部屋の中に充満していく。
部屋中に霧がかかっていくみたいに。
MZDは、膨大な量の資料に目を通し、何かを書き込んでいく。
神の仕事も普通の会社員の仕事も一見何も変わらないようだ。
ただ、彼の書類にはありとあらゆる事柄がびっしりと書かれており、並みの人間なら読めて10枚といったものだ。
「主ー。入りますよ。」
「ぅーい。」
コーヒーの載ったお盆と共に影が入ってくる。
空気に白く色のついた部屋を眺めて少し顔を顰めた。
「主。ちょっと吸い過ぎじゃないですか?」
「ぁん?そうか??」
「あんまり吸い過ぎると体壊しますよ。気を付けて下さいね」
「ハイハイ。それよかそこの資料取ってくれぃ」
資料の束から顔を上げる事も無く、神は持っていたペンで近くの書類のケースの詰まった棚を指す。
しかしその書類が多過ぎて影は途方に暮れた。
「どれですか?」
「だぁからそれだっつの」
「それって言われてもたくさんあり過ぎて…」
「未処理書類の中。」
「初めからそう言って下さいよ。全く、困った人だなぁ…」
「何か言ったかぁ?」
「いぇ。」
大きな棚の上から随分ホコリの溜まったケースを引き抜く。
随分昔のものらしい上放置されていたようだ。
ケースのフタを開けようとするとホコリが舞った。
「ぉ・そうだ」
「はい?」
「由宇はまだ学校だったか?」
「え・っと…まだ4時なんで学校ですね。」
「つまんねぇなぁ。」
「まるで依存症ですね」
「そうだな。そうかもな」
影はくすくす笑って書類ケースをMZDに手渡した。
さっき持ってきたコーヒーの存在を思い出して慌ててそれも渡す。
MZDは少しコーヒーを飲んでまた書類に戻る。
手探りで煙草の箱を探して煙草を咥える。
「あーイライラするわ。ったく、由宇早く帰って来いよな」
「書類片付けて待ってればいいでしょう」
「つまんねぇなーぁ。可愛い彼女は学校、俺はこんなに若いのに毎日書類と格闘。まったくまったく、カワイソウな俺」
「そんなこと言ってないで仕事してくださいっ!!!」
「はいはいはいはい。やりゃいいんだろ、やりゃぁ!!」
空になった煙草の箱をぽいっとゴミ箱に放る。
その中には既にいくつもの煙草の箱が入っていた。
ヘヴィースモーカーならこの位吸うのだろうか。
他は何も考えずに書類の中身を頭に入れていく作業は、とてつもなく長く、つまらないように思えた。
「たっだいまー!MZDぃー」
玄関から誰かが飛び込んできた。
「おかえりなさい由宇さん」
「影ちゃんただいま!MZDは?」
「居眠りしてますよ。起こしてやって頂けます?」
「あいよっ」
パタパタと足音が近づいてくる。
ニヤリと笑う。
「MZD、起き「やっと帰ってきたかっ!!」
「っっきゃぁあああああああああッッ!!!!!!」
由宇の大絶叫を聞きつけて影がMZDの仕事部屋に駆けつけた。
「…何やってるんですか!!!」
「るっせぇなー」
影は真っ赤になって目を叛けた。
由宇の首元で不機嫌そうにMZDが影を追い払う。
「うぁー・、影ちゃぁあん」
思い切り抱きすくめられて2人して床に転がっている。
「影、戻ってろよ」
「・・あの、悪いんですけど今日締め切りの書類があと2842枚あるので早めに仕事に戻って頂けます?」
「やぁだ。俺由宇と一緒にいるもんー」
「小学生か貴様は!!!」
由宇の抵抗空しくいきなりブラウスのボタンを外される。
「やぁあめぇえろぉおお」
「久々だなーぁ」
「てかタバコ吸い過ぎでしょ今日」
「かもな」
「はぁ・。ちょっとどいて」
「ぁー?」
「大人しく待ってろ!!」
一喝されて小さくなってMZDは離れた。
由宇はカバンから何か取り出してMZDに渡した。
「アメなんか食えっかよ」
「タバコ吸い過ぎの人はね、口がさびしいんだって。」
「お前がなかなかヤらしてくんねぇから」
「黙れ。それ食べて仕事終わってからね。」
勝ち誇ったように笑いながら制服着直した。
影拍手。
「頑張ってね、神様。」
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大分古いやつを手直し。
確か友人が「タバコ吸い過ぎの男は口がさみしいらしい」とか言ってたのでこのネタ。
(050925)
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